1年生のうち1軒は、昨日のうちに渡してあります。私が話す予定だった式辞を掲載します。 令和元年度 修了式 式辞 卒業式そのものを含めて、有終の美に向けて準備してきたものが何もできない、寂しい年度末となってしまいました。泉陽中学校が閉校してしまうと言うのに、何もそれらしいことができないのが、本当に悔しく悲しいです。 正直なところ、今回の新型コロナウィルスのことはわからないことが多すぎて、今後もどのようなことが起こるのか、全く予想もできません。そのような中で、イタリアはミラノのある校長先生が生徒へ宛てた手紙が話題になっています。一部を抜粋してみます。「今大切なことは冷静さを保ち、集団のパニックに巻き込まれないこと。そして予防策を講じつつ、いつもの生活を続けて下さい。せっかくの休みですから、散歩したり、良質な本を読んでください。体調に問題がないなら、家に閉じこもる理由はありません。スーパーや薬局に駆けつける必要もないのです。マスクは体調が悪い人たちに必要なものです。 世界のあちこちにあっという間に広がっているこの感染の速度は、われわれの時代の必然的な結果です。ウイルスを食い止める壁が存在しないことは、今も昔も同じ。ただその速度が以前は少し遅かっただけなのです。この手の危機に打ち勝つ際の最大のリスクは、社会生活や人間関係の荒廃、市民生活における蛮行です。見えない敵に脅かされた時、人はその敵があちこちに潜んでいるかのように感じてしまい、自分と同じような人々も脅威だと、潜在的な敵だと思い込んでしまう、それこそが危険なのです。 ペストが流行した16世紀や17世紀の時と比べて、私たちには進歩した現代医学があり、それはさらなる進歩を続けており、信頼性もある。合理的な思考で私たちが持つ貴重な財産である人間性と社会とを守っていきましょう。それができなければ、本当にウィルスが勝利してしまうかもしれません。 では近いうちに、学校でみなさんを待っています。」 私も全く同じ気持ちです。予防策を講じつつ、いつもの生活を続けて下さい。何があっても落ち着きを失わないことこそが大切です。 それでは、泉陽中学校最後となった191日間の令和元年度を修了します。皆さんが、無事に今日を迎えられたのは、当たり前のことのようですが、いろいろな人やものに、助けてもらったり支えてもらったりしたからです。最後にこの一年お世話になった、全ての人やものに、感謝の気持ちを表すのを忘れないでください。校長先生も、今日まで頑張ってきた皆さんと、先生方、そんな私たちみんなを見守ってくれた地域の皆さん、おうちの人、学校の校舎や教室、泉陽中学を囲む山や川、全てに感謝したいと思います。1年間、いや、58年間ありがとうございました。
令和2年3月19日 泉陽中学校長 寺田敦朗