新型コロナ感染者が袋井市で出てしまったため、本日予定していた卒業式は中止となってしまいました。他校では3/27に送別式に合わせて渡す学校もあるようですが、本校では、その日に閉校式を行うため、今日3年生の全家庭を訪問して卒業証書を授与しました。
泉陽中学校最後であり、泉陽中学校最後の卒業生の卒業式が、全員が集まり、在校生の祝福も受けながらの式とできなかったことは本当に残念で悔しいですが、一人ひとりに言葉をかけながら卒業証書を手渡すためにはこれしかありませんでした。どうぞ御理解ください。
この様子は本日夕方のSBSテレビ、静岡第一テレビ、テレビ静岡で放送されます。
また、卒業式で私が読む予定だった式辞、在校生代表の送辞、卒業生代表の答辞は以下の通りです。なお卒業生には全てを印刷して配布しました。
第58回卒業式 式辞
思い返せば9年前、2011年の3月、東日本大震災に伴う大津波により、東北地方では皆さんと同じように卒業式を心待ちにしていた多くの中学生が、その夢を打ち砕かれ、級友を失ってしまったり、学校そのものがなくなってしまったりしました。そんな一人、宮城県気仙沼市立階上(はしかみ)中学校3年生の梶原裕太君は、10日遅れで催された卒業式の答辞の中で「天が与えた試練はあまりに、むごすぎる。辛くて、悔しくてたまらない。しかし、天を恨まず、運命に耐え、助け合っていかなければいけない」と涙ながらに訴えました。
泉陽中学校最後の卒業式という有終の美に向けて準備してきた様々なものが、水泡に帰してしまった悔しさ、つらさ、どうして私たちがこんなにつらい思いをしなければならないのか、と過酷なこの運命を呪っても何も変わりません。私たちもそれに耐えて、歯を食いしばって前に進みましょう。
泉陽中学校で卒業証書を受け取る最後の卒業生である皆さんは、本当にその名に恥じぬ、立派な業績をたくさん残してくれました。「残す・繋ぐ、泉陽魂」を合言葉に取り組んだ数々の行事、感謝の気持ちを表現しようと磨き上げた学年合唱曲、陽光祭のソーラン節を記憶に残る出来映えにしようと、一生懸命下級生を指導した熱意、トイレ掃除ボランティアで便器を磨く額に流れる汗、朝礼で私をまっすぐ見つめる真剣なまなざし、どれをとっても美しい心を体現した、泉陽魂あふれる頼もしい姿でした。
そんなあなたたちだからこそ、感謝の気持ちはいつまでも忘れずにいてほしいと思います。皆さんの成長は、お父さんやお母さん、おじいさんやおばあさん、近所の人たち、まわりの多くの人たちが助けてくれたからこそ、得られた成長だと思うのです。ぜひ、泉陽中学校卒業後も、「感謝」の気持ちを持ち続けながら、人生を生きてください。
そしてどうか、あなたたち自身が「ありがとうと言われる人」になってください。
とかく人は、スポーツ界のスター選手や人気者の俳優や歌手など、スポットライトを浴びる人の生活に注目してしまいがちですが、皆さんの周りには、朝早くからバスを運転して、多くの人を運んでくれる運転手さん、朝早くからパンを焼いて、たくさんの人の食卓を賑わすパン屋さん、朝から晩まで土にまみれて、おいしい野菜や米を作ってくれる人など、普通だけれど一生懸命働いて、周りの人に感謝される人、つまり皆さんのお父さんやお母さんのような人が、たくさんいて、この社会を支えているのです。そんな周りの人から感謝される人になってほしい。感謝の気持ちをもって、自分もまた周りから感謝される人、それが本当に素晴らしく輝いている人なのです。どうかそんな普通だけれど輝く人になってください。
保護者の皆様、御家族の皆様、お子様の御卒業おめでとうございます。これまでを思い起こし、感無量のものがあろうかと拝察いたします。楽しいことを話す言葉に笑顔で相槌を打ったり、つらく苦しいときに一緒に悩んだり、皆様が子どもたち一人ひとりを温かい心で包み込み、ともに歩んできてくださったからこそ、今日を迎えることができました。卒業後も、子どもたちを変わらぬ大きな愛で包み見守っていただけたらと思います。そして、これまでの皆様の温かい御支援と御協力に、改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。
では、卒業生の皆さん、泉陽中学校の卒業生としての誇りと自信を胸に、泉陽魂を失わず夢に向かって進んでください。皆さんの輝かしい未来を心から祈り、式辞といたします。
令和2年3月18日 森町立泉陽中学校長 寺田敦朗
送辞
校庭の桜のつぼみも膨らみ始め、陽射しもめっきり春らしくなって参りました。この佳き日に三年間慣れ親しんだ泉陽中学校を旅立たれる卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。在校生一同、心よりお祝い申しあげます。
改めて皆さんとの思い出を振り返ると、私たちの手本となっていた先輩方の姿を思い出します。不安ばかりの学校生活、そんな中皆さんは優しく私たちに声をかけてくださいました。そのおかげで安心して中学校生活のスタートをきることができました。皆さんの頼もしい姿は部活動や生徒会活動でも多く見られました。
自己ベスト更新に向けて仲間と励まし合った陸上競技部。1人1人が目標と向き合うと共に部を引っ張っていく姿は輝いていました。生徒会活動では「誠心誠意」を活動目標とし、常に私たちをリードしてくださいました。あいさつ運動(ありがとう運動、スマイル運動)やボランティア活動などの伝統を引き継ぐだけでなく、よりよい泉陽中学校にしようとする姿がありました。一生懸命な背中を見て、私たちも頑張ろうという気持ちになりました。
9月に行われた陽光祭、各団長・副団長が中心となり私たちを引っ張ってくださいました。なかでも最後を飾るソーラン節は全員が完璧な演技をできるようになるまで教えてくださいました。期待に応えようと思い私たちは集中して練習しました。心をひとつにして踊りきったソーラン節は決して忘れることのない思い出として心に残っています。
11月に行われた泉祭、合唱練習ではみなさんからたくさんのアドバイスをいただきました。歌詞の意味を考えること、表情豊かに歌うことの大切さなどを教えてくださいました。おかげで本番では最高の歌声を響かせることができました。また、今年は各学年、自分たちで作った曲を披露しました。3年生の「いつまでもそばに」は協力して作られたことが伝わってきました。私たちの曲にない工夫があり、チームワークの良さに気づかされました。
今年で泉陽中学校は閉校し、今までの行事はなくなってしまいます。しかしここまで受け継がれた泉陽中の良さは無くしたくありません。だから私たちは三年生からのバトンを引き継ぎ森中に行っても泉陽魂を輝かせることをお約束します。
今日、皆さんは新たな世界へ旅だって行きます。そこにはきっとつらいことやたくさんの試練があるだろうと思います。そんな時、泉陽中で仲間と笑い合った日々、乗り越えた日々を思い出し勇気を出して一歩踏み出してください。私たちは、いつでも応援しています。最後にもう一度在校生を代表し心からお礼申しあげます。今まで私たちを支えてくださりありがとうございました。皆さんのご活躍とご健康を祈念して、送辞といたします。
令和2年3月18日 在校生代表 吉筋春奈
答辞
本日は、新型コロナウイルスに関連する肺炎の流行と混乱のさなか、私たちのために卒業式を挙行していただきありがとうございます。突然の休校で、卒業式が行われるのかと心配しておりましたが、無事その日を迎えられたことに心から感謝しております。
今日、私たち12名は、3年間の思い出と支えてくださった皆様の言葉を胸に、この泉陽中学校を旅立ちます。
真新しい制服に心をときめかせ、今日と同じようにこの体育館に並んだ3年前のあの日から、私たちの「中学校生活」という物語が始まりました。それから今日までの3年間、私たちは共に笑い合い、共に学び、共に支え合ってきました。そんな日々も今日が最後だと思うと、言葉では言い表せない気持ちになります。
慣れない中学校生活に戸惑いながらも、必死に先輩の背中を追いかけた1年生。何もかもが初めてで、苦労しながらも挑戦し続け、あっという間に過ぎた1年でした。
後輩ができ、学校の中心となった2年生。初めの頃は、先輩と呼ばれることに違和感を感じていた私たちが、自覚を持ち始めたのは生徒会活動からでした。「後輩のお手本になりたい」そう全員が思い取り組んできました。しかし、自分たちの思うようにいかず、一人一人が悩み苦しんだ時もありました。そんなとき、誰かに打ち明け助けを求めてもよいと気づくことができ、みんなで力を合わせて乗り越えることができました。部活動でも後輩を指導する立場となりました。一人では解決できないことでも、仲間と話し合い、励まし合うことで、いくつもの困難を乗り越え、それまで以上に強い絆を作り上げることが出来ました。2年生では、日々「上に立つ」という難しさを身に染みて感じました。
そんな毎日を過ごしていくなかで知らされた泉陽中学校の閉校。私たちは、驚きと悲しみを隠せませんでした。しかし、下を向いてばかりではいけないと思い、「今いる私たちには何ができるだろう」と真剣に考えました。そして、出た答えは「泉陽中学校に感謝する」ということでした。
それらの思いから、中学校生活最後の3年生の学年目標「感恩報謝」を掲げました。どんなときも、「感謝をしよう」と全員が心に決め、3年生が始まりました。自分たちが団の中心となり、最高の陽光祭にするために知恵と精を出した陽光祭。全力で戦うだけでなく、全力で楽しむことができました。最後に踊ったソーラン節。練習では、毎日、昼休みの体育館に掛け声が響いていました。本番は、周りにいる仲間と一つになり、3分40秒を全力で踊りきることができました。最高の演技をすることができたと思います。
自分たちで作った曲を披露した泉祭。曲をゼロから作るということは、決して簡単なことではありませんでした。みんなで意見を出し合い作った曲は、私たちが伝えたいことをしっかりと伝えることができたと思います。二大行事を成功させることができた達成感と喜びは、忘れられません。そしてそれは、私たち全員が同じ目標に向かい進むことができたからだと思います。
在校生の皆さん、いつも私たちを信じてついてきてくれて本当にありがとう。皆さんと一緒に過ごせたことを私たちはうれしく思っています。どんなときも、周りの人への感謝を忘れないでください。
どんなときも、私たちに愛のあるご指導をしてくださった先生方。いつも、私たちのことを第一に考え、わかりやすい授業をしてくださりありがとうございました。私たちは何度も先生方の笑顔に勇気をもらいました。私たちが、中学校生活を思い切り楽しみ、大きく成長できたのは、先生方の支えがあったからです。今まで本当にありがとうございました。
いつも、私たちのことを温かく見守ってくださった地域の方々。私たちは、この地域で育ったことに誇りを持ち、これからも頑張っていきます。
お父さん、お母さん、今までたくさん迷惑をかけました。学校生活で悩みがあるときも、イライラして反抗してしまうときも、変わらず私たちを見守り支えてくれました。普段は言葉にする機会は少ないですが、いつも感謝しています。本当にありがとうございます。この先、まだまだたくさん迷惑をかけてしまうと思いますが、優しく見守ってください。これからも変わらぬご支援をよろしくお願いします。
そして、3年生のみんな。長いようで短かったこの3年間。どんなときも笑顔が絶えないこのクラスが私は大好きです。「私も負けられない」と思える最高のライバルであり、同い年だけれど尊敬できるところもたくさんあり、これからもつながっていきたいと思えるかけがえのない存在です。時にはつらいとこともありましたが、どんな時も支え合い、高め合い、3年間を共に過ごすことができて幸せでした。みんなのおかげで、中学校生活は輝きと笑顔あふれる、かけがえのない宝物となりました。3年生のみんな、今まで本当にありがとう。
私たちは今日、この泉陽中学校を卒業し、「中学校生活」という物語が終わります。それぞれ道は違いますが、この3年間で経験したことを忘れず、夢に向かって歩み出します。私たちは、これからたくさいの人との出会いを大切にし、人生を輝きあふれるものしていきます。
最後になりましたが、今日まで私たちを支えてくださった皆様に、改めて感謝するとともに、皆様のご健康とご多幸を願い、答辞とさせていただきます。
令和元年度 卒業生代表 早馬 聖夏
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